アフガニスタンで命を落とした医師中村哲先生を慕って現地NGOが各1,250冊作成し地元の子らに配布した絵本2冊だ。日本語版となって邦訳出版されるに際しては縁のあったさだまさしさんの訳として売られて発売即重版とか。でもわたしは敢えて元の絵本たちを読みたいと切望する。さだまさしさんの偉業を否定するわけではないが、かれの名前を前面に出して売る商法は好きになれない。厳密には「日本語翻訳製作 さだまさし ほか」となっているけれど、わたしは「ほか」とある処にもっと光を当てて欲しかった。原書の出版そのものに日本のNGOも関わり、その呼びかけで多くの日本人が寄付もしている。現地において、日本などからの支援を得てようやく2500冊製本配布している一方で邦訳本が爆発的に売れるという経済格差、出版格差、それは読書の格差であって、わたしたちはもっとそこに目を向けたい。そして、(これは見方によれば傲慢といわれることを承知で書くが)好き放題に読書しているわたしたちのその拠出が回り回って世界中の子らの読書に資するような、そんな国際的なシステムが自然と構築されることを願ったりしている。そのためなら(わずかなら)価格の上乗せもいいんじゃないか。消費税も大事だけれど、もっと大きな視点も大事にしたい。
- 戦争は女の顔をしていない(著)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(訳)三浦みどり
- 徹底して戦争と死について書く(執筆)沼野充義(『図書』岩波書店定期購読誌2020年11月号巻頭)
- 夢の舟唄(德永民平詩集)
- わさびの日本史 (著)山根京子
- 国家への道順(著)柳美里
- 正義のゲーム理論的基礎(著)ケン・ビンモア(訳)栗林寛幸
- 社会契約論ーーホッブス、ヒューム、ルソー、ロールズ(ちくま新書)(著)重田園江
- 40代から始めよう! あぶら身をごっそり落とす きくち体操
- スケール 上──生命、都市、経済をめぐる普遍的法則(著)ジョフリー・ウェスト(訳)山形浩生・森本 正史
- 多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)