帯には「ユーモアと独自の眼差しで詠んだ」とあるけど、ユーモアじゃなくて「臨終」「死」に対する凝視が半端ないように思えて仕方ない(それが結果的にユーモアに解される)。わたし流に別の言い方をするなら、死神に挑む句(が多いんじゃないかな)。好きです。
好きな句多すぎるけど、少し掲げると・・・
寒椿穢土に眼をぱつちりと
マフラーを殺むるごとく巻いてやる
蝶の屍を入れて芙蓉を縫ひ合はす
夏座敷まぼろしの子の通りけり
雛のみな息絶えてゐる雛の闇
初明り死にたての死者手を挙げよ
黒薔薇を刺客のごとく送らるる