奴隷のしつけ方

古代ローマ貴族であったマルクス・シドニウス・ファルクスの著・・・となっているが、嘘だよ。実によく出来たフィクション。架空の人物。実際に書いたのは解説者となっているジェリー・トナーさん。ネットでは騙されて称賛してる文もあるくらい、よく出来てる・・・が、真実は正直不明だ。案外、フィクションを装った実録だったりしたら痛快。

余談はさておき、内容はほんとうにそれっぽい。奴隷と貴族、それぞれに固定的な身分制ではなかったらしいし、キリスト教における奴隷制の位置づけ・評価が歴史とともに変化していくあたりの記述がまた興味深い。もちろん丸々フィクション作品として読んでも楽しめるし、読み終えたあとに古代も今も変わらないなあとしみじみ感じ入ってしまう、そこが最大のテーマなのだ。制度としての奴隷制は消えても、実態としての奴隷的生き方を強いられている人間は、なんと古代ローマより現代が多いのかもしれない。

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