東日本大震災後の福島被災者のストレスを的確に語ろうとする名著。この本を読まずして福島を語ることなかれ、と言いたくなる。著者はいわゆる文系人間から理系人間に転向して、両面から被災者の現実に肉薄した稀有な一人といえる。科学的知見だけで測れない情動的な部分の重さを、科学的に証明し教えてくれている。科学的確率で、目の前の家族の命の重さをはかることは出来ない事実。それを理性的に説き示してくれる。
惜しむらくは、タイトルだろうなあ。内容に即して分かりやすくすればいいのに。たとえば副題を「不安な心は科学で測れない」とでもするとか。
あけ