真・風景論 哲学的考察

風景とは何か。そんな問いそのものがなぜ起こるのか、本書を読んでやっと納得。政治がらみでいうなら日本に起こった「修景」事業という和風の景観造成による街づくりのごまかしを暴く問いなのだ。むりやり日本ぽさを演出して観光業に貢献しよう? そもそも、そんな風に作られた景色は本当に日本的なのか。(おばかという意味で現代日本的かもしれん。)著者の言いたい事はきっと、風景とは、つくるものではなく、感じるものであれ、ということなのだ。自然界の姿であれ、人工的建造物の混じるそれであれ、その場に居合わせる時に「ぬっ」と現れるものこそ風景とよばれる代物なのだ。この本の面白さは、どこまでも哲学的問いかけであるところ。それが、一見つまらんテーマを魅力的にしている。

この人の、他著も読みたくなった。たとえば『友情を疑う 親しさという牢獄』(中公新書)とか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。