幸田露伴の世界

とてつもなく多角的、学術的、驚異的露伴論。露伴の作品をいくつか知っている程度のど素人は、唯々、ふーん、と感嘆するよりない・・・が、本書で井波律子女史がますます好きになった。圧巻は、水滸伝翻訳の偉業のかげにある、露伴の「宋江」(なんでこんな奴をという感じの人物)称揚観のくだり。巨人・露伴という人間がいかに複雑怪奇で常人の想像を超えた世界に遊んでいたかが・・・なんとなく分かる。露伴を研究しようなんて野望に手を染める人種と、そう唆したであろう人々にエールを。

 

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