「粗にして野だが卑ではない」石田禮助の生涯

国鉄総裁として国会であいさつしたときの自己紹介の弁。それが「粗にして野だが卑ではない」。

豪傑明快な頑固じじいであったようだが、その礎としてあったのは、女次郎長といわれた母親の血だったのかもしれない。お母ちゃんは偉大なり。

 

この本のどこが気に入ったかというと、裏表紙に写真をあしらったデザインが一番。著者・城山三郎さんのスタンスを編集者が汲み取った恰好だと拝察している。写真の選び方にしても。

 

以下、蛇足。

宗教に関しては、典型的な日本型儀礼に則りつつも、日本の宗教者をどこか見下していたのだろう。葬儀に関する遺言に顕著にあらわれている。(事実、葬式仏教の現状にうんざりしていた。)と同時に、若い頃にキリスト教から受けた影響がひそかに息づいていたに違いない。まあ、まっとうな菩薩信仰との出会いがなかったことだけは確か。

 

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