広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカで暮すエスキモーや白人たちの生活を独特の味わい深い文章で描くエッセイ集。1999年刊。(単行本は1995年刊)
著者・星野道夫は発刊の翌年にアラスカで熊に襲われて亡くなった。
その3年後の文庫版に友人・池澤夏樹が「いささか私的すぎる解説」を寄せている。
【所感】
よくある癖で巻末の解説やらあとがきから読むことが多いのだが、今日も池澤さんの解説を読まなかったら、買うことはなかっただろう。
「最近ぼくは星野の死を悼む気持ちがなくなった。(中略)彼の死を悼む資格はぼくたちにはないのではないか」
そうまで言わしめる生き様をした人について、知りたくなった。
星野という人は22歳で、アラスカに行って暮らすと決めて、実行した男。
大自然とともに生きた。
ふと気になったのは、そんな生き様を選択しつつも、日本で出版をする意味だ。
日本の人に何かを伝えたい思いが熱かったのなら、やはり彼は日本人として生きたのだろう。
【評価】★★★☆☆
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167515027