カマキリの雪予想

【内容】

「カマキリが高いところに産卵すると大雪」との言い伝えをていねいに観察・実証した表題作ほか、小学校の図書室で出会った子ども向けノンフィクションの思い出、秘境ブータンでの豊かな時間など、2005年に発表された味わい深いエッセイ60篇を収録。プロ、アマを問わない執筆者の多彩さも魅力の、心に響くベスト・エッセイ集。

 

【所感】

2005年のエッセイ集で、タイトルにもなった「カマキリの雪予想」は掉尾を飾る秀作・・・・だったのだが。執筆者の酒井與喜夫さんは素人ながらこの研究のおかげで工学博士の学位を取得し、『カマキリは大雪を知っていた』(2003年刊)と題する著作まで出版していた。

 

当時、テレビなどでも採りあげられて話題になったらしいが、あとになって、科学的にまちがいだとする見解がちらほら。科学の世界って、そういう面がある。でも、わたしはベストエッセイとしての輝きは失わないと思う。科学的に正しかろうがそうでなかろうが、酒井さんが訴えたかったことはカマキリの真実ではなくて、人間と自然界との距離感なんだから。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。