これぞ短編って感じの傑作。小学生の日常に、未確認飛行物体が登場するにもかかわらず、それは本題でないから謎のままスルーし、身近に自傷行為者がいるのも事実として存在するだけでそれ以上の展開も詮索もしない。小学生が同級生や、また家族とのリアルなやりとりで、目の前に起きた難題(当事者にとっては事件!)に向き合っていく爽やかな物語だ。こどもの目線から世界を観れば(実は大人も同じなんだが)謎が溢れ、不安を予感させる出来事もまた山積。それでも、目一杯、今を生きようとしているのは、嗚呼うらやましい世界であ~る。だから児童文学は愉しい。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 春の宵(著)クォン・ヨソン(訳)橋本智保/韓国女性文学シリーズ4
- アジの味(著)クォン・ヨソン(訳)斎藤真理子(頭木弘樹編『絶望書店』所収)
- ゆるく考える(著)東浩紀 (河出文庫)
- 他所者の神戸(執筆)尾原宏之(『図書』岩波書店定期購読誌2021年6月号)
- 実力も運のうち 能力主義は正義か? マイケル・サンデル(著)鬼澤忍(訳)
- 「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ 長島有里枝(著)
- 未確認ハンバーグ弁当(作)日向理恵子/日本児童文学2021年5・6月号
- 雲と空のはざまで(執筆)大河原 愛(『図書』岩波書店定期購読誌2021年5月号/巻頭)
- お探し物は図書室まで 青山美智子(著)さくだゆうこ(羊毛フェルト)写真(小嶋淑子)装丁(須田杏菜)
- 三の隣は五号室 長嶋有(著)中公文庫