新撰組の○○というのも、○○の料理人とのタイトルも溢れている気がするのに、これは新感覚かも・・・と手に取る。あっ、この作者は以前にも新撰組をテーマに書いていた? と恐る恐る解説から読む。やっぱり。『新撰組颯爽録』であったか。解説者はこう語る。
剣の達人とされてきた土方歳三を剣の才能がなかったとするなど、前作を踏襲した設定や世界観もあるので、『新選組颯爽録』を読んでおいた方が本書をより楽しめるはずだ。
解説(末國善己)
・・・迷ったあげく、前作を読むことにして、この一冊は取りあえず本棚行き。解説によれば、新選組モノのブームを牽引したのは紛れもなく司馬遼太郎さんの『新選組血風録』『燃えよ剣』2作だった。それまで明治以降に逆賊扱いでしかなかった彼らに光を当てた格好だ。
そういう風に俯瞰するならば、○○の料理人という主役扱いの流れも、陰の存在にすぎなかった人びとに光を当てる一種の文化的発展と見ておきたい。まったくの余談ながら、このように料理人をターゲットにした(文芸に限らず)藝術作品の嚆矢とは何だったのだろうと聊か気になる。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 春の宵(著)クォン・ヨソン(訳)橋本智保/韓国女性文学シリーズ4
- アジの味(著)クォン・ヨソン(訳)斎藤真理子(頭木弘樹編『絶望書店』所収)
- ゆるく考える(著)東浩紀 (河出文庫)
- 他所者の神戸(執筆)尾原宏之(『図書』岩波書店定期購読誌2021年6月号)
- 実力も運のうち 能力主義は正義か? マイケル・サンデル(著)鬼澤忍(訳)
- 「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ 長島有里枝(著)
- 未確認ハンバーグ弁当(作)日向理恵子/日本児童文学2021年5・6月号
- 雲と空のはざまで(執筆)大河原 愛(『図書』岩波書店定期購読誌2021年5月号/巻頭)
- お探し物は図書室まで 青山美智子(著)さくだゆうこ(羊毛フェルト)写真(小嶋淑子)装丁(須田杏菜)
- 三の隣は五号室 長嶋有(著)中公文庫