2010年発表のデビュー作(当時は20代か)。「工場」という名の巨大な異空間に何も知らずに就労して入り込んでしまった3人の目線それぞれで追う物語。わたしの地元でも「工場前」なんていうバス停があったりするので親近感を覚える。興味深いのは、だらだらとつづく改行無し(ではないけれどどこまで改行せずにいくのかと毎回おもわせるほど余白のすくない)文章のかたちがみごとに内容そのもののうんざりかんとマッチしていること。ある意味では古風な風刺っぽさを漂わせているのかと思いきや、むしろ気味悪さと、それをそうとも感じなくなっていく人間の哀れさを煮詰まらせていく、そんな感じ。(読後感として、さわやかさは皆無だ。)
唯一気になるのは、毎度のことだが、表紙絵のこと。装画については、Philippe Weisbecker 作品集『POBLE NOU』より、と説明がある。その画の下部に記された文字「CARRER DE JOAN MIRO」は人名のようだがPhilippe Weisbeckerとどう関係するのだろうか?
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