おしゃれな造りに嬉しくなる。しおり紐はみんな印刷されたもので、いわばフェイク尽くし。なかでも、扉のまえにある透明シートの仕掛けは絶品。
それ以外にも、随所に見開きの写真があるのだがそこにあしらったイラストがカワイイ。もちろん大量の絵本が紹介され、そのなかで「いい絵本」についての思索が深められるように組み立てられている。そのうえで著者は「ちゃちな子どもだまし」「大人の独りよがり」を廃していく。著者がその思いを強くしたエピソードが見事で、わたしもがつんとやられました。
児童文学者の斎藤惇夫さんが、その著『現在、子どもたちが求めているもの』(キッズメイト刊)の中で、編集者時代のこんなエピソードを・・・
赤羽末吉さんの『つるにょうぼう』を担当されていたときのことです。・・・斎藤さんが指折り数えてみると、機織り機を見にどこそこへ出かけたり、着物を調べにどこどこまで行ったりと、もう六年もたっていました。・・・赤羽さんは・・・最後に「だって相手は子どもなんだぜ」とこうおっしゃったそうです。
- EREWHON エレホン サミュエル・バトラー(著)武藤浩史(訳)
- 失われた芸術作品の記憶 ノア・チャーニイ(著)服部理佳(訳)
- 問いかけるアイヌ・アート 池田忍(編)五十嵐聡美・貝澤 徹・小笠原小夜・吉原秀喜・高橋 桂・中川 裕・山崎明子・池田 忍(著)
- 撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
- 絵本の本 中村柾子著
- 藤井聡太 すでに棋士として完璧に近い(谷川浩司筆・文藝春秋2021新年特別号所収)
- 石たちの声がきこえる マーグリート・ルアーズ(作)ニザール・アリー・バドル(絵)前田君江(訳)
- 国旗のまちがいさがし 苅安望(監修)
- ひみつのビクビク フランチェスカ・サンナ(作)なかがわちひろ(訳)
- あしたはきっと デイヴ・エガーズ(文)レイン・スミス(絵)青山南(訳)