令和2年5月発行の23刷に掛かっている帯は、今が旬の上白石萌音さんの顔写真入り推薦文。これで買う人も多いんだろうなと思いつつ、わたしは表紙絵のシンプルなのに見つめてしまう「何も書かれていない本」に吸い寄せられて買いました。(わざわざ言うことか!)
本にまつわる、というより本が主人公の短編集。そんな中でもとびきり魅力的な作品は「不幸の種」扱いされる本のはなし。「あの本」としか紹介されない正体不明の本がしかと存在感を放って有るところが、巧い。 どれを採っても明々白々フィクションではあるものの、わたしにはお伽話のように心地よく余韻を遺してくれる。
肝心のカバー装画のぬしは、吉田圭子さん。