コールサック社の最新刊。読みたいと発起したきっかけはデイヴィッド・クリーガーさんの詩『イラクの子供達には名前があった』(訳者?)の一節を知り、かれの詩とその舞台イラクにまつわる何かに触れたくなったからだ。本書は裏表紙に列なった作者たちの数を見ただけでも、その重厚重層ぶりに感嘆する。
アジア全体で括る意味をわたしは未だ充分に解しきれてはいないが、西アジア、南アジア、中央アジア、東南アジアⅠ、東南アジアⅡ、北アジア、中国、朝鮮半島、沖縄、地球とアジアといった具合の章立てには相応の意義があると感じた。アジアの混沌は、混沌でありつつも、どこかで通底して、アジア全域に根を張っているのかもしれない。共生か、それとも共感、共振なのか判然としないながらも、解説者・鈴木比佐雄さんのいう創造的「混沌」に接していきたい。