この本も高知の古本屋で買った。ご当地の名物校長として戦後の地方新聞を賑わせた溝渕忠廣先生の自伝。昭和20年9月、25歳の若さで小学校長に就任したが、平坦な道ではなかった。
ことさら紀元節を祝賀するなどしたために、がんこな国粋主義者的な評も少なくなかったが、それは一面的・表面的な見方に過ぎなかったようだ。最後の土佐人然とした教育者との讃辞もある。
終戦後、日教組に象徴される教員組織と、彼らと対峙した教職者。戦後の教育界の息づかいが聞こえてくる。現代に、学校教育とは何だ、と問い直すための基礎知識として読んでおきたい。