森博嗣さんは人間関係で悩まない? かねがね、かれのエッセイは読みやすくて説得力があると思ってきたが、ひとつ疑問がわいた。本書のなかで、仕事を辞める人全般について述べるくだりで、「問題はすべて人間関係」と断じているんだけれど、驚愕の一文に出遭う。
(すこし手前の文から引いておくと)
・・・「人間関係」という問題だ。これ以外に、人間が抱える問題はないといっても良いくらいである。僕は、それ以外の問題しか抱えない人間なので、ずっと不思議だったのだが、世の中の人というのは、とにかく人間関係以外では悩まないといっても過言ではない、と少し誇張しておこう。
「人の気持ちがわかるというのは、自分の中にも同じ要素を秘めているから」といった類いの論理をわたし(をはじめとして多くの人)がしているように思う。でも森さんの場合は、ちと違うのだろうか。人工知能のような認知のしかたをして生きておられるのか。森さんという人をもっと知りたくなった。