数日前紹介の分厚い本『ゲーデル,エッシャー,バッハ』の著者ダグラス・ホフスタッターが認知科学のプロとして、万人にとっての「つかみどころのない私」について前著より努めて平易に書こうとした挙げ句、再度ぶあつい本を書いてしまったという落語みたいな本。 大真面目に、ふんだんに登場する比喩の嵐はそれなりに面白い。
強いて東洋的な見地から物言えば、まるで禅問答の奥義を素人に解説しようとして、結局さわりの部分だけって感じの稚拙さがある(が、個々の比喩や題材そのものが読んでいて愉しいからいいんじゃないって感じ)。でも仏教思想の神髄の場合なら、こんだけ平易に語ろうとした著はないかも知れないと思うのは事実。