ジャック・デリダにまた挑戦してみた。
哲学書の翻訳本はどうも読み辛いんだが、巻末の訳者解説のおかげで、ぐっと身近な問題に。
西洋の神学論争に端を発するようなテーマだけれど、もっと人間臭い問題として、捉え直していく論考。
人間が人間をさばく、ゆるす、というのは法治国家なら避けて通れないテーマだ。その極致が、死刑の是非。
国民主権て何なんだろう。国民ひとりひとりに何が出来るんだろう。なにが赦され、なにが赦されないんだろう。
〔ポイエーシス叢書63〕
現代最高の哲学者ジャック・デリダの晩年の問題系のひとつでもあった〈赦し〉の可能性 = 不可能性のアポリアを緻密に展開した論考。現代世界のユダヤ教・キリスト教・イスラーム教をめぐる錯綜する紛争やイデオロギーの争いのなかで、ジャンケレヴィッチの議論やハイデガーのナチズム加担の問題を軸に、赦し得ない罪をそれでも赦し得るのかという究極の問いを論じ抜く。訳者の力作解説付き。