今日もまた、松浦寿輝さんの影響で読む一冊。
現代文明をぶったぎる舌鋒に声をうしなう。現代社会は尊厳というものを破壊しつづけているのだ。機械文明のおかげで人は「そっとしずかに、しかもぴったりドアを締めるというような習慣が忘れられていく……ファシストたちの行う虐待行為との類似点」……に気づきもしていないのではないか。
ドイツの劇作家ヘッペルの言葉を引いて「成長して大人になるにつれて人生の魅力が失われていくのはなぜだろう」という問いを投げかけていたりもする。
日常生活にひそむ真実をつきつけられる哲学書かな。