帯に載っているメッセージを半信半疑で確かめるように読んでみたが、ん~全く共鳴しない。救いと光に満ちた長編小説ということらしいのに残念。
巻末解説で中瀬ゆかりさんが明かしているのは、自身のパートナー喪失直後に、この著者白石一文さんから送付された「中瀬さんのためだよ」と念押し付きの小説原稿がこれであった。事実、この作品に中瀬さんは共鳴し救われたとのことで、そういうこともあるのだなあと小説の力のひとつに感心はした。
でも、大切な人の死や喪失にかかわった人、万人に向いているわけではない。なのに「共鳴しないはずがない」とまで言わせる。すごい力が働いた理由は、わたしから観て因縁作用に他ならない。
無論、わたしの感性なり死生観が普通でないと言われれば(誰がいうのさ)否定はしない。ただし、普通のっていう括りを生死の問題で使うべきじゃないというのが私の意見。