日本を愛する米国人が日本語で書いた詩集。そんなことを知る必要はないといえばないんだけど、米語の翻訳じゃなくて、日本語を駆使して、日米を行き来するこころのゆらぎみたいなものまで描かれているのが新鮮だ。
それを象徴する詩「翻訳について」の一節を記しておきたい。
寝室に入ると そこに
もう一人のわたしを見つける
そのわたしは金髪ではなく
そのわたしには黒髪がある
(中略)
二人のわたしの話はすれ違い
合うことは なかなかない
(中略)
やがて 抱き合い
赤の他人のように愛撫しあう
一個の完全な人格になれるように