装画(赤池佳江子)装幀(田中久子)がしゃれていていい。重厚なテーマをかろやかにしてくれて、手に取りやすい。ありがとう。でなければ、医師・合気道家の著者の臨床現場での苦労談にすすんで接しようという気になれなかったかもしれない。
内容としては、著者ならではの西洋・東洋医学の架け橋的論考は、予想通りでおもしろかった。予想を超えて興味深いのは、現代の臨床事例がいっぱい紹介されているところで、とりわけ注目したのは精神疾患に対するオープンダイアローグという取り組みの詳細。
本の構成として、引用文献の紹介・注記が行き届いている点もすばらしい。