童謡の百年

明治政府がつくらせた唱歌の多くが、ヨナ抜き長音階だった。そもそもヨナ抜き長音階を詳しくしらないで生きてきたわたしは、その核心にはじめて触れた思いだ。それよりもっと強烈にびっくりこいたのは、明治の音楽雑誌その名もズバリ『音楽雑誌』の16号に掲載された記事のことだ。

「童謡に注意せよ」

従来児童間に行はるる童謡は卑猥の歌詞多しされば一月の如き殊更に貴となく賤となく遊戯及歌詞を唱ふる時に於て其卑猥の者を僻(さ)けしめ代ふるに善良にして興味あるものを与へなば将来道徳を矯正する基とならん是れ恐くは其主旨を達するの早道ならんか

 

唱歌と童謡のそれぞれの支持者対立についても委細に述べられてある。戦後以降の世代はもはや何も考えずに童謡も唱歌も受け入れているのではないか。わずか百年で人心はこうも改変させられてしまうのか。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。