竹内理三 人と学問

竹内先生(1907-1997)は日本の歴史学の基礎史料と基盤を築かれた偉人。著者は(たぶん)そんなにないが、史料編纂の量ははんぱない。奈良時代平安時代鎌倉時代の古文書の集成に生涯をささげられたといっても過言ではない。本書はそんな先生の思い出を集めた追悼文集ともいえる。

古文書の収集にあたられた、当時の苦労をこの本で知った。寺社などに赴いては、現物を前に手写(手書きで写し取ること)されていったという。同行の助手のひとたちは、先生みたいにすらすら読めないのだが、集中しきっておられる先生にいちいちお尋ねすることも畏れ多く、結局不明リストをふやしていったようだ。現代において活字史料にめぐまれている果報をいかほどの人間が噛みしめているだろうか。

 

内容(「BOOK」データベースより)

歴史研究者68名の心に残る、不世出の歴史学者・竹内理三の思い出。『平安遺文』『鎌倉遺文』など、古文書編纂に命をかけ、89年の非凡な生涯を終えた、文化勲章受賞者・竹内理三の人柄と学問を、縁りの人々が綴る。

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