この国でナショナリズムを語るのに特定著者の一冊で済ますのは危険極まりないとはいえ、ここに掲げられた四冊の必要十分性もまた吟味されなくてはいけない。(わたしには分からん! けれど、思想書に伍して安部公房の小説を持ってきたセンスはナイスって感じが大いにする。)
それより、それより、わたしはネーションの訳語として「国家」がふさわしくなくて「国民」「民族」が適切というあたりで早早に躓いて、絶えず疑問はそこに回帰してしまう。戦争論の延長で手にしたまではよかったが、本書を書いてる偉いさんがたみたいに、ストンと腹に落ちるには時間がかかりそうだ。