まず表紙絵からどきどきする。ご本人の作画だろうか。
タイトルにもなっている、所収の詩『風の生活(くらし)』は本書の総じてどろりとした感覚をちゃんと具えてはいるが、締めくくりは少し趣を異にする(と感じて好き)。夕暮れの描写になっているのだがあまりに詩的な言葉の連打で意味を追うことを放棄させる。それでいていつまでも脳内でこだまする感じがして、いつのまにか諳んじてしまうかもしれない(予感)。
最後の部分だけを抜き書き。
運河のそばのラーメン屋が
チャーシューの糸を巻きつける頃
化粧しはじめる雲の上に
秋の草が揺れているのが見えた
目づまりしない
紙ヤスリ一八〇番で磨いてみたら?
夕暮もソプラノで歌い出すぜ