贅沢貧乏(復刻版)

著者森茉莉さん自らをモチーフにした主人公・牟礼魔利(むれ・まりあ)は稀代の変人だ。貧乏小説家ながら独自の贅沢観に彩られた装飾に囲まれて暮らしている、との設定の描写は執拗このうえない。それ以上に驚きは、彼女の父の設定がその名も欧外(おうがい)と来てるから、やりすぎでしょ。(ほかにもまるでパロディ風に詩人みよし・てつや?なども登場し、吾輩と名乗る黒猫も出てくる。)この本が出たとき、実父鴎外殿は故人だったからいいようなものの・・・自虐っぷりは単に個人の家庭の問題で済みそうもなく、社会批判に通じている。初版が出た1963年当時の世の反応に興味がある。

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