検事の本懐

表紙絵の女神はフランクフルトのユースティティア像だろうか。象徴される天秤の両秤に載っているものは、法という名の正義と人間それぞれのいきざまということか。目隠しでなく、白眼(?)の盲目っぽい像が選ばれたことにも暗示を感じる。などと、本文よりもそんなことばかり観察して愉しみ、読後にもう一度眺めて二度楽しい小説。

 

おはなしはどれも、柚木裕子的重厚な法曹ミステリーの短編集。決してめでたしめでたしの結末ではないが、後味は悪くない。人として何を軸に生きるのか、だれのために生きるのか、それぞれが大切にする何かを命懸けで守り貫く姿勢に胸の奥が熱くなる。

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