対面的: 〈見つめ合い〉の人間学

人と人が向かい合い見つめ合う時に何が起きているか。73の話題・角度から縦横無尽に論じ尽くしたユニークな1冊。サルトルの残したことば「地獄とは他人のことだ」を持ち出して論じているかと思えば、ガンつける・ガンとばす・メンチ切るの分析をしているし、自閉症患者の視線の動きに注目したり、映画の濡れ場を観察したり、と興味は拡がるばかり。答のないテーマを扱っている著者は哲学者か? 医学研究者か? などと想像していたが、専門は文学・表象理論・フランス文学だって。(なにゆえに文学の枠を越えて対面を研究するのかようわからんが愉しいからOK。)

 

一番面白いのは「動物にも顔はあるか」という論考。形状としての目・鼻・口はあっても、顔としてのはたらきをヒトとの間に有しているのか。へんなこと研究する人びともあるのだ。ジャック・デリダのこの問いは「動物は返答するか」との問いと連動している。

 

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