江戸に花開いた注釈の世界は何を意味するのだろう。注釈書の1冊1冊がもつ意味はいろいろあるかもしれないが、特定の古典について多くの人間が次から次と注釈を施す現象(ブームといってもいいかもしれない)は、オリジナル本の読み方を劇的に変えてしまうことだってあるんだ。
注釈書には虚実が混ざっていることだって少なくないが、大まじめに作られた注釈群の虚と
実は、江戸時代における「表裏一体の真実」といえるのかも。高僧伝にまつわる変容はまさに、二次創作みたいなものだが、ウソイツワリで片付けるのは賢明ではないのだろう。