敵中横断三百里

山中峯太郎大日本雄弁会講談社 1931年
 

【所感】
日露戦争の実話を題材にしたスパイ小説。太平洋戦争の戦前戦中(そして戦後も)に少年を虜にしたらしい。
当然のこととして古めかしい文章ながら、今読んでも、実にスピーディーに小気味よく物語が進んでいく。本書を読んだ戦前戦中の子、おそらく多くの男子がスパイや軍人にあこがれたであろうことが伺えるのは、やや複雑な心境。

著者は軍人経験者であり、この手の戦争小説を多々執筆したが、思想的に苦闘し宗教遍歴を重ねたり、あるいは中国革命に加担した時期もある。その人となりについて、より深く知りたいと思う。なお、小説の表面上にはそんな気配は微塵も無い。(じっくり読み込んでいくと、潜んでいる、らしい。)

 

【おまけ情報】

著者はシャーロック・ホームズのシリーズ翻案でも知られる。

 

【解題】(日本の子どもの本100選 戦前編)
こちらを参照。
http://www.iiclo.or.jp/100books/1868/htm/frame064.htm

 

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