春の宵(著)クォン・ヨソン(訳)橋本智保/韓国女性文学シリーズ4
虚しさ哀しさばかりが残る中高年の末路。著者あなたは何を視ているのでしょうかと、寄り添いたくなる読後。それが端から狙いだとしたら途轍もない大作家なのだと想う。添付の著者近影のまなざしもそれを考えさせてくれる。韓国は、日本の…
虚しさ哀しさばかりが残る中高年の末路。著者あなたは何を視ているのでしょうかと、寄り添いたくなる読後。それが端から狙いだとしたら途轍もない大作家なのだと想う。添付の著者近影のまなざしもそれを考えさせてくれる。韓国は、日本の…
2年前に読んだときは後に何も残らなかったのに、手話のことに少しばかり関心を寄せている今、読み返してるうちに胸が熱くなる自分にハッとした。声帯の手術をした元彼が、自分のことばを探している。 言葉ってさ、と彼が言った。「他の…
ゆるく。それは生ぬるく聞こえるが、途轍もなく一途に、周辺にまとわりつく粘着思考を離れる考察態度を意味していた。外野の声を遮断して「考え続ける」価値を教えられた気がする。その意味では気易く「エッセイ集」と呼んでしまっては軽…
今、兵庫県神戸に暮らしながら、本年1月で丸26年を迎えた阪神淡路大震災以降に移り住んだ著者の「よそ者」感は半端ない、らしい。・・・逆に、今は阪神エリアに居ないながらも大震災で住居全壊体験したわたしは、事あるごとに被災体験…
「学力偏重主義ーー容認されている最後の偏見」この第4章タイトルが一番しっくりきた。能力至上主義はかつての上流階級中心の社会像を変えたように見えて、さして流動的な平等社会を築けていないばかりか、正義面した偽善者そのもの・・…
帯の表紙部分にある武田砂鉄さんのコメントは絶妙。 ボクには理解できるよ、という傲慢な批評を、細かく切り刻む鋭利さに痺れた。 1990年代に生まれた写真の新潮流を、写真家業界のあっちとこっちの目線、さらにメディア目線まで丹…
これぞ短編って感じの傑作。小学生の日常に、未確認飛行物体が登場するにもかかわらず、それは本題でないから謎のままスルーし、身近に自傷行為者がいるのも事実として存在するだけでそれ以上の展開も詮索もしない。小学生が同級生や、ま…
最新ホラーのように紹介されている、桐野夏生さんの『日没』の装画の作者さん。タイトルは「深層の森」だという。 その小説について大河原さんは、母子分離不安症の子らに付添って学校の廊下に居る大河原さんの心と現実にシンクロする作…
装丁と写真と「?」の吸引力にヤラレた。すぐには羊毛フェルトと判らなくて思わず顔を近づけた。(それでもわからず頁を繰ると)さくだゆうこさんの名前とともに、そう書いてある。で、即買いして、読み進めたらフェルト作品はりっぱな登…
(図書館ラベルが強烈、なのは慣れた。)それ以上にインパクトあるタイトルと、想像力を掻き立てる表紙デザイン。察するに、無いはずの四号室の物語かなとの妄想は妄想だった。古いアパートを舞台に繰り広げられる、(ある意味)時空小説…