暮尾淳詩集 現代詩文庫227

お気に入りの詩「冬の日」

アブサンを飲むと
笑ってる顔が現れ
しだいにそれが崩れ
オリーブ色の背景に圧されて
消えてしまう。
(中略)
どこかで猫が泣く。
電話が鳴る。
鉛のようなものを胸に植えて
痛みを飼いならしてゆく
このごろというわけです。

 

 ♪  ♪  ♪

 

友を亡くした酒場の風景がうかぶ。飾らないところが、沁みる。ほんとに、どうってことない文章のようで、最後の「というわけです。」の礼儀正しさが酒飲みの切なさ。

 

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