一分(いちぶん;小説旧題=順風はらみて)

坂岡真著の歴史小説、というか爽快青春小説なり。逆境、苦境、理不尽の連続にも真っ直ぐに生きようとする青年は侍身分さえ捨てることになった。その名も陽太郎。数奇な縁で酒造りの世界や船乗りの道に歩を進める、それぞれの描写が目に浮かぶよう。幕末を舞台にした設定も最後で腑に落ちる仕掛けか。恋愛や進路に迷い、ゆれうごくさまは当に青春だねえ。ハッピーエンドにしないで、青春小説らしさを最優先した構成・展開。それにふさわしい文体に感服仕った。あっぱれ。

 

(わたし的には、表紙や挿絵のイメージはもうちょっと渋めが佳かったなあ。)

 

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