<ほんもの>という倫理

政治を哲学するチャールズ・テイラーの著書を読んでみた。1992年刊行の『The Ethics of Authenticity』の全訳本。

ちょっと古臭いかなと案じたのは杞憂だとすぐわかった。近代以降の社会に拡がる不安の要素をほんとわかりやすく分析解説してくれていて、今2017年の日本の政治状況もまさにこれだよ、と膝打ちした。個人主義、効率主義と相まって恐るべき「ゆるやかな専制政治」。そして真の最大の脅威は、市民の無関心にあることを自覚できる。

内容紹介

近代は個人の自由とともに、道具的理性の支配と穏やかな専制の成立という危機をもたらした。今その危機のもとで、自由で民主的な社会の存続のために何が求められているのか。共同体主義者として知られた著者が、近代の思想史を紐解き、人間の条件を問うなかから、現代社会の課題と展望について語る。

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