谷川俊太郎編 辻征夫詩集(岩波文庫)

谷川さんと辻さんの、1996年1月於池袋の対談(記録)がいい。右目を網膜剥離症で手術して目が不自由になった辻さんは56歳、谷川さん64歳。二人の青少年期からを語り合うやりとりは、意外と若々しい。詩作のくるしみについての話題では、谷川さんが「もう書きませんよ、あんな詩なんてもの(笑)」との件りは興味深い。結びとして辻さんが、「現代詩の世界」なんて無いんだと我が詩作の道をゆく潔さはダンディ。

お気に入りの詩は、「学校」と題した、空想の物語みたいな一篇。登校拒否した男性教師が、寝坊して学校休んだ娘と散歩にいく風景がいいなあ。最後のやりとりは、これ。↓

ぼんやりしてたら娘が言った

おとうさん?

 

なあに?

 

あしたは学校へ行く?

 

どうしよう?

 

行けば?

 

うん

 

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