(今日も懐かしい古本。)2004年刊行。著者の専門は自然言語解析。学者肌ではあるが、民間で企業活動(広告とか?)に生かす研究をしてきたらしい。発行当時はさして気にならなかったのだが、読み返してみてAI研究の世界(日本だけでなく文字通り国際社会のこと)で記述言語に2系統あったなんて話は現在どうなったのだろう。(その当時はAIが身近でなかったから深く気に止めなかったのかもしれない。)
その対立の基底にあったのが各国の言語系統の差異だったという。
開音節(音節が母音で終わる傾向)語系統の日本、イタリア、フランスはLISPというプログラミング言語。異なる言語系統の米国はPROLOGという言語。
前者はあいまいな知識をあいまいなまま記述してゆき、後者は知識を単純化して記述するからその分だけ高速になる。古代から連綿と(変化しながらも)継承されてきた言語が感覚・思考にまで反映され、現代社会の基層を為しているのは興味深い。されば言語の消滅問題もその線でより深く研究されなければならないだろう。