雑音に着目したジャック・アタリの視点は面白い。その延長で、映画『海の上のピアニスト』を分析する著者は近代と前近代の差をみつめ、近代ゆえに新たに生まれた欲望の問題を鮮明に・・・。というものの、この映画を見なくっちゃと思うワタシであった。
ちなみにジャック・アタリさんは今、「合理的な利他主義」を提唱する話題の経済学者。
ひとりの社会学者が、映画や文学に籠る文化を読み解いて、現実の社会や生活を見つめなおそうという試みの数々。わたしにすれば、作者と視聴者のさまざまな思いを文字化するところから新しいなにかが見えることと察する。