南原先生を師として(丸山眞男集 第十巻所収)

南原繁さんを知らないので参考文献を漁っていて遭遇した本。四国香川の生んだ、大正昭和の政治学者の偉大さをわたしが感知できたのは、かれの詠んだ歌に触れてのこと。

昭和16年の「十二月八日」と題する歌。

人間の常識を超え学識を超えておこれり 日本世界と戦ふ

また、この連作の歌に、

民族は運命共同体といふ学説 身にしみてわれら諾(うべな)はむか

 

これらの歌について丸山眞男は「いわゆる敗戦主義者よりは、ナチを拒否しながらもあくまでドイツから亡命しないでドイツ国民と運命を分とうとした数少ない知識人の生き方が、先生の態度に近いのではないか」と感想を述べている。

 

平成から令和の時代にも、かかる声を発する、骨太の政治学者が求められているのであろ。

 

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