3月12日の日経新聞朝刊コラム"春秋"に引用されていた著。今建設中の東京五輪・パラリンピック主会場の整備計画に関連させて、古代ローマのコロッセウム建設の真相を紹介している。ローマの歴史を都市建設と権力者像にしぼって綴っているが、現代に重ね合わせて学ぶことが多々あって、歴史のおもしろさを痛感する。春秋にわざわざ書名を掲げるだけあって、実際に手にすると引用部分の周辺から未知の世界がどんどん拡がっていく。
コロッセウムという名称も正規の名では無い。フラウィウス円形闘技場という正式名称がありながら、暴君ネロの威光殲滅のための施設であるにもかかわらず、ネロの巨像コロッススと混同されてコロッセウムと呼ばれてしまっている。矛盾に満ちた歴史の実相があらわれていたりするのだ。