亡失について

なんだかどんよりと突き刺さる新人詩人があらわれた。水下暢也。どんより、と、突き刺さる、は不釣り合いのようだが読めばわかってもらえる気がする。昨秋発行されて本年増刷。詩集としては異例なことではないのか(よく知らんが)。

 

「窓辺から合図を送る女」の一篇から冒頭を紹介。

窓から落ちたのは

柿の病葉だった

廃家の二階に上がると

床に薄い日脚がささっていた

冷めた黴を嗅ぎ

襟首を引っ張り上げて

咳を抑えた

綿屑が口に入った

 



 

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