撤退の時代だから、そこに齣を置く(執筆)赤坂憲雄(『図書』岩波書店定期購読誌2021年1月号/往復書簡「言葉をもみほぐす」最終話)
日本民俗学の再興者(と呼びたい、東北学の先覚)赤坂憲雄さんと気鋭の歴史学者藤原辰史さんの書簡対話最終回にふさわしい、時代の闇に光を差し込もうとする不屈の決意が充溢している。まずは、福島とそこに暮らす人びとがこの10年ふり…
日本民俗学の再興者(と呼びたい、東北学の先覚)赤坂憲雄さんと気鋭の歴史学者藤原辰史さんの書簡対話最終回にふさわしい、時代の闇に光を差し込もうとする不屈の決意が充溢している。まずは、福島とそこに暮らす人びとがこの10年ふり…
先輩一流棋士のみが語れる一流棋士の実力というものは、凡庸な人間が足を踏み入れることのない世界に違いないが、語られる言葉の何とずっしり響くことだろ。 棋聖戦での一手には驚かされました。・・・あと一勝で棋聖というところでもう…
特ダネを追う新聞記者たちの半世紀をコンパクトに手玉にした短編集。スクープの華々しさとは裏腹に、そこに至る(あるいは至らない多くの)舞台裏の物語はどろどろとしているだけでなく、どうにも哀愁が漂う。社会の時々刻々の移り変わり…
令和2年傑出の小説だ、わたしのなかで。女と男が交互にだす手紙14通だけの物語。この手の文通ストーリーは珍奇ではないが、差出人の2人をそれぞれベテラン作家が分身のように担当しての回想連作が、一から十まで(正確には十四まで)…
反出生主義そのものは古代から今に連なるひとつの思想だ。(今日の愛媛新聞書評欄で)評者・加藤秀一さんはその流れを「連綿たる流れ(濁流?)」と書いている。清濁あわせもつのが人類の知の歴史である以上、目を背けずに真摯に俯瞰して…
最近、性差・女らしさ(・男らしさ)にまつわる著作に遭遇する確率が高くて、惹き寄せられているのかもしれない。本書も古本屋で発見。女性の権利にはじまり社会的性差解消では先進国のフランスで1984年に(邦訳は1992年)世に問…
雑誌に書評コーナーは珍しくないが、肝心の本より紹介者の名前・コメント・イラストが目立っているシリーズは新鮮。今号では4人が1冊づつで、次の通り。 遠山秀子さん(山陽堂書店・東京都港区)1891年創業・・・「落ち着きのない…
わたしの興味は絵のほう。日本語版で明示の名前「ヨアンナ コンセホ」で探しても分からないが、”Joanna Concejo”でサーチすると、なかなか個性的な作風がいろいろ。人物画はやや不気味な気配を…
前号で「らしさ」シリーズの端緒を飾った「女らしさ」につづくのはやっぱり「男らしさ」だ。そこは読み通りだったが、予想通りの展開のあとの待っていたのは、ほんに今どきの「男らしさ」を問う素晴らしい提言としての一品だった。 そも…
おとなの雑誌の特別付録の絵本というので即ネット注文で、翌日ゲット。なんと、別冊ではないのだ。一緒に製本されている。サイズを少しだけ小さくして。新鮮! 幼児といっしょにチチ・ハハ? あるいはじじ・ばばが見るのを想定してるの…