作者の策に進んでハマって愉しい。ここに収められた24篇のエッセイはハッキリ言って新しくない(2011~2017年執筆)のだがあまり意識しないし、わざわざ前書きにつづいて「著者からのお願い」と題して、読み飛ばしていただいていい2篇を例示してあるが、それこそ読むべし、という感じ。「全国の巻き尺への疑惑を晴らしたい」と「憎き相手校を応援する理由」。
それにしても、どうしてタイトルの「頓」の字にだけフリガナがついているんだろう。これも著者のこだわりなんだ。
どれもこれも実に軽妙なのに、軽薄ではないなあとしみじみ思う。末文で「ある方」に仮託して示された文章がそれを物語っている。(その「ある方」が誰か気になる人は本書を手に取る運命にあるかも。。。)
この世界には人間の思惑を遥かに超えた力が存在することを分かってほしいという、その方なりの思い故であった……と信じたい。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 「おばさん」がいっぱい(執筆)三辺律子(『図書』岩波書店定期購読誌2021年4月号/本をひらいた時)
- 七万人のアッシリア人 ウイリアム・サローヤン(著)斉藤数衛(訳)現代アメリカ作家集上巻所収1971年初版
- 季(とき)間中ケイ子(筆)ほか/日本児童文学2021年3・4月号 特集25年後の子どもたちへ
- カフカらしくないカフカ 明星聖子(著)
- 雪の練習生 多和田葉子(著)
- 物理の館物語(著者不明)/小川洋子『物理の館物語』参照(柴田元幸編『短篇集』所収)
- 『還れぬ家』『空にみずうみ』佐伯一麦(著)
- 十一年目の枇杷(執筆)佐伯一麦(『図書』岩波書店定期購読誌2021年3月号/巻頭)
- もっともらしさ(執筆)畑中章宏(『図書』岩波書店定期購読誌2021年3月号/らしさについて考える④)
- 【続】フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い化面』小野正嗣(筆)NHK100分de名著