作者の策に進んでハマって愉しい。ここに収められた24篇のエッセイはハッキリ言って新しくない(2011~2017年執筆)のだがあまり意識しないし、わざわざ前書きにつづいて「著者からのお願い」と題して、読み飛ばしていただいていい2篇を例示してあるが、それこそ読むべし、という感じ。「全国の巻き尺への疑惑を晴らしたい」と「憎き相手校を応援する理由」。
それにしても、どうしてタイトルの「頓」の字にだけフリガナがついているんだろう。これも著者のこだわりなんだ。
どれもこれも実に軽妙なのに、軽薄ではないなあとしみじみ思う。末文で「ある方」に仮託して示された文章がそれを物語っている。(その「ある方」が誰か気になる人は本書を手に取る運命にあるかも。。。)
この世界には人間の思惑を遥かに超えた力が存在することを分かってほしいという、その方なりの思い故であった……と信じたい。
最近の読書10冊(予定を含む)
- 春の宵(著)クォン・ヨソン(訳)橋本智保/韓国女性文学シリーズ4
- アジの味(著)クォン・ヨソン(訳)斎藤真理子(頭木弘樹編『絶望書店』所収)
- ゆるく考える(著)東浩紀 (河出文庫)
- 他所者の神戸(執筆)尾原宏之(『図書』岩波書店定期購読誌2021年6月号)
- 実力も運のうち 能力主義は正義か? マイケル・サンデル(著)鬼澤忍(訳)
- 「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ 長島有里枝(著)
- 未確認ハンバーグ弁当(作)日向理恵子/日本児童文学2021年5・6月号
- 雲と空のはざまで(執筆)大河原 愛(『図書』岩波書店定期購読誌2021年5月号/巻頭)
- お探し物は図書室まで 青山美智子(著)さくだゆうこ(羊毛フェルト)写真(小嶋淑子)装丁(須田杏菜)
- 三の隣は五号室 長嶋有(著)中公文庫