丹下健三ディテールの思考

建造物設計として、いのちを守るとか機能性などの役割はわかりやすいが、歴史を伝えるとか平和を創造する目的性とデテールの関係なんて、わたしはこれまで考えたことはなかった。昭和20年代広島平和記念公園の計画コンペをめぐる抵抗や対立の流れは、日本の歴史を頭と魂に刻む上で知っておいたほうがいい。

 

デテール(detail)にこだわるなんて言い方をするが、建築設計におけるそれは単なる好みとか趣向なんて陳腐な理由からではないようだ。細部といえば細部だけれども、全体のなかに細部こそデテールの意味。適当な日本語訳がないのは、日本にはそういう考え方がもともと無い事なんだろうか?

本書は建築・土木専門図書出版の彰国社から出ているたけあって、完全に業界向けだ。わからん用語(ほとんどカタカナ語。たとえばラーメン)が続出・・・なんだけれど丹下健三や他の人間の思考遍歴がなんとなく分かるのでおもしろい。建築家とか設計士とかいわれる人のあたまのなかをちらっと覗いた気分。

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