「厭書家」の本棚

昭和一桁うまれの骨太の爺だ。厭書家とはほんものの愛書家の異称にほかならないのだが、本に対して紳士で真摯なこの爺さんが発すると、なるほどと唸らされてしまう。読む時は、紫綬褒章とかいろいろ冠をたくさん貰ってなさる御仁であることを気にせずに読みたい。事実そんな読み方をした。

 

で、この本はいうまでもなく書評集。

専門の演劇やら芸術関連の書籍のほかのジャンルにも意欲的に食い込んでいる。読むだけなら読めるとしても、それを評する力はふつうはないものだ。

そんな中でわたしが興味をもった1冊がコレ。

「神なき時代」に神を模索する、と題した書評。対象本は梅原健一郎著『感覚のレッスン』。肉体感覚を俎上にあげた哲学書らしい。

この本について爺は語る。メルロ・ポンティの身体論がどうしたこうしたと。共通する関心について、意見を異にしつつも敬愛する著者に立ち向かっているのだ。

 



 

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